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チームの「エネルギーの流れ」を整える

1. 私は「成果に興味がない人間」らしい 先日、ある有名なタイプ診断を受けた時のことです。 参画しているプロジェクトチームの他メンバーが軒並み「主導・積極型」と判定される中で、私だけがポツンと「安定・支援型」。 さらにレポートを読み進めると、そこには「成果への関心が相対的に低い傾向がある」と記されていました。 メンバーに爆笑されたことは救いでしたが、正直、驚きました。 「私はこれまで、成果を二の次にして生きてきたのだろうか?」と。 しかし、これこそが診断ツールの「面白いところ」でもあり、「危ういところ」でもあります。 私は決して成果を諦めたわけではありません。 むしろ、主導型の役者が揃ったこのチームにおいて、チーム全体が最大出力を出すために、 今はあえて「安定・支援」という機能を、無意識かつ戦略的に選択している のではないか。 そう捉え直したとき、診断結果は私を閉じ込める「檻」ではなく、自分とチームの「今」の力関係を知るための、極めて貴重な手がかりに変わりました。 2. 「類型論」という便利な地図を使いこなす MBTIやビッグファイブ、エニアグラ

チームへの投資は、いつ「利益」に変わるのか?

潜伏するROIと、変化の閾値 1. 経営者の直球:で、いつ儲かるの? 「儲かるか、儲からないか」 これは 「実務実行(パフォーマンス)」の世界の話 です。 売上、利益、KPI。経営者がここを最優先するのは当然です。 しかし、なぜ多くの組織で「実務を回すスピード」を上げようとスキル研修やツール導入を繰り返しても、持続的な成長に繋がらないのでしょうか。 それは、私たちが直面している課題の性質を見誤っているからです。 2. 「技術的問題」と「適応課題」の混同 ここで、ハーバード大学のロナルド・ハイフェッツが提唱した重要な視点をご紹介します。 技術的問題(Technical Problems): 既存の知識やスキルの習得、リソースの追加で解決できる問題。 (例:新しいツールの導入、専門スキルの研修、人員増強) 適応課題(Adaptive Challenges): 人々の価値観、信念、関係性、あるいは「OS(組織文化・習慣)」そのものを書き換えないと解決できない問題。 多くの現場で起きている「実務の停滞」は、実はスキルの欠如(技術的問題)ではなく、チームと

「心地よいチーム」に未来はない

心理的安全性の誤用を越え、ドラマを共創する作法 1. 「見えない重力」に飲み込まれる個人 「優秀な人間を集めたはずなのに、なぜかチームが停滞している」 「リモートワークになってから、会議で誰かが発言するのを待つ『沈黙の時間』が増えた」 こうした悩みに対し、多くの組織が「個人のやる気」や「マインドセット」に解決を求めがちです。しかし、社会心理学の父 クルト・レヴィンは、人の行動を次のような冷徹な数式で定義しました。 B = f(P, E) B(Behavior):  行動 P(Personality):  人格・能力・価値観 E(Environment):  環境・場 個人の行動は、その人の資質(P)だけでなく、取り巻く「場(E)」との関数であるという真実です。 かつてオフィスに漂っていた空気は、ハイブリッドワーク下の現在、デジタル上の行間に潜む 「新しい見えない重力」へと変質 しました。この"見えない不安による過度な忖度や様子見"が個人の主体性を削り、「言われたことだけ、ちゃんとやる」という「自己制限の壁(リミッティングビリーフ)」や、心を閉ざす

その「エンゲージメント調査」は、誰を幸せにしているか?

「お客様」扱いの組織開発を卒業する 今回は、ちょっと毒を吐きます… 1. 「状態伺い」という名の接待アンケート 「今の会社に満足していますか?」 「上司はあなたの成長を支援してくれますか?」 世に溢れるエンゲージメント調査設問を眺めるたび、私は形容しがたい違和感を覚えます。 回答者を「お客様」扱いし、会社が提供するメニューの満足度を問う。 そこには、組織の一員としての「覚悟」も「責任」も問う姿勢が欠落しています。 もちろん、kahnの「エンゲージメント定義」、Schaufeliの「ワーク・エンゲージメント」、いずれも一定の理解はしていますし、「満足度調査とは違う」という論調も多く読んでいます。それでも、「なんか、ズレを感じ、気持ち悪い」と。。 経営者が真に知りたいのは、社員が幸せか、やりがいがあるかという「感想」ではなく、 「明日、このチームで高い成果を出す意志(コミットメント)があるか」 という一点のはずです。 もし、あなたの会社のエンゲージメント・スコアが「環境への不満」で上下しているのなら、それは組織開発ではなく、単なる「社員接待」に過ぎま

「システム」としてのチームの再設計

大人の事情があり、一旦、寸止めで。 1. 「エースの寄せ集め」が勝てない理由 「優秀な人材を採用し、個人の能力(コンピテンシー)を底上げすれば、組織は強くなる」 これは、多くの経営者や人事が信じている「正攻法」です。 しかし現実には、スタープレイヤーを集めたはずのチームが、驚くほど凡庸な成果に終わることがあります。 例えば、営業成績トップの人間ばかりを集めたプロジェクトチーム。 個々の交渉力は抜群なのに、いざ連携が必要な場面になると「それは私の役割ではない」「誰かがやるだろう」という空気が流れ、情報共有の漏れから大きな手戻りが発生する。 なぜ、パーツが最高なのに、全体が動かないのか。 それは、私たちが 「個人の能力」ばかりを見て、その間を流れる「システム」としての設計を後回しにしてきた だと思います。 2. 「半径3m」は、個人の能力を増幅させる「ブースター」 心理学者のアルバート・バンデューラが提唱した「社会的認知理論」では、人の行動は「個人」「行動」「環境」の3つが互いに影響し合うことで決まると説いています。 かつてのブログで「半径3mの熱

心理学から読み解く、これからのチーム

ヒトは「仕組み」で動く、という時代は終わったと思っています。 1. 「アメとムチ」の100年を、ちょっと振り返ってみませんか? 「もっと頑張ってもらうために、評価制度を見直そう」 「効率を上げるために、新しいマニュアルを作ろう」 リーダーとして、ついそう考えてしまうこと、ありますよね。 実はこの「仕組みで人を動かそう」という発想、もともとは100年くらい前の心理学から始まっています。 かつての心理学は、目に見える「行動」こそがすべてだと考えていました。 有名なのは、心理学者のスキナーが行った「スキナー箱」の実験です。ネズミがレバーを押すとエサが出るようにしておくと、ネズミは喜んでレバーを押し続ける……というもの。 S(刺激) → R(反応) この「刺激(S)を与えれば、反応(R)が返ってくる」というシンプルな数式は、ビジネスの世界でも「インセンティブ(報酬)を上げれば、みんな動くはずだ」という 仕組み至上主義 の根っこになりました。 でも、人間はネズミのように単純な「自動販売機」ではありません。 2. なぜ、立派な「仕組み」を作ってもチームは動か

「わかりやすさ」という名の優しい罠

私たちの成長は、簡単に止まってしまう… 1. 1日に35,000回、私たちは「選んで」います 今日、皆さんは、いくつの決断をしましたか? ケンブリッジ大学の研究(※1)によると、ヒトは1日に最大で35,000回も判断しているそうです。 ランチのメニュー選びから、会議での何気ない発言まで、私たちは常に「AかBか」という選択肢を毎日延べ70,000件見て仕訳けている、これほど膨大な処理を無意識に何気なく行っている脳は、本当にすごい! と思ってはいますが、実は想像以上に「合理的」に働いています。 2. 20ワットの灯りが照らす「実態」 私たちの脳は、重さ約1.5kg、消費電力はわずか20Wほどだと言われています。 家庭用の小さな薄暗い電球ひとつ分ほどのエネルギーで、860億個ものニューロンが絡み合った天文学的なネットワークを動かしているという、とんでもない仕組みです。(※2) でも、この極小エネルギーで働き続けるために、脳は一つの「ワザ」を持っています。 それが、パターンや直感で素早く処理する「システム1(速い思考)」への依存であり、エネルギー消費の激

「楽園」探しをやめて、ドラッカーの「あの言葉」を思い出そう

コクヨ株式会社様にコラム提供させていただきました。 是非、ご一読くださいませ! https://www.kokuyo-furniture.co.jp/wp/special/teamus/column/T042302.html 【注意!】 とは言え、このブログはコクヨ株式会社様とは一切関係なく、お話しする内容も「私個人」の思想・信条・想いであることをご理解ください。 みんな、BANIってる 最近、職場のリーダーや若手社員の方々と話していると、底知れぬ「焦燥感」のようなものを感じることが増えました。 VUCA(変動・不確実・複雑・曖昧)なんて言葉ではもう生ぬるい。 今は「BANI」の時代と言っていいでしょう。 B rittleness(脆さ):昨日までの常識がポロリと崩れる A nxiety(不安):何が正解か分からず、常に落ち着かない N on-linear(非線形):努力と結果が結びつかない I ncomprehensible(不可解):起きていることの理由が分からない この「脆くて不可解な世界」で、私たちの視界をさらに狂わせているのが、SNS

窓際で知った「半径3メートルの熱量」

はじめに:私の原点 大手製造業に身を置いて35年。普通に考えれば「ベテランの安定した会社員生活」を想像されるかもしれません。しかし私の歩んできた道は、決して華やかな王道ではありませんでした。むしろ、社内からは「はみ出し者」に見えていたはずです。 実は30代の頃、私は大きな挫折を味わいました。 若かった私は、バブル景気のお蔭で「月販1億円越え」を何度も達成。完全に自惚れ、「唯我独尊」の極みで上司や役員にも"謎の上から目線"で批判・意見をしまくっていました。 その結果待っていたのは、いわゆる「左遷」です。昨日までいた賑やかなフロアから離れ、窓際で過ごす日々。あの時の、誰からも必要とされていないような、冷え切った孤独感は今も肌が覚えています。 けれど、皮肉にもその「窓際時代」が私の人生を変えました。 社内の評価軸から外れたことで、逆に社外の様々な人たちと深く関わる機会を得たのです。利害関係のない対話の中で、私は「自分がいかに狭い世界で、独りよがりな捉え方をしていたか」を突きつけられました。その気づきが、今の私のコンサルティングの根底にある「人との深い関

企業情報

株式会社キャリアクラフトコンサルティング

資本金 300万円

適格請求書発行事業者

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