窓際で知った「半径3メートルの熱量」
- 曽根原 士郎
- 1月4日
- 読了時間: 5分
更新日:3 日前
はじめに:私の原点
大手製造業に身を置いて35年。普通に考えれば「ベテランの安定した会社員生活」を想像されるかもしれません。しかし私の歩んできた道は、決して華やかな王道ではありませんでした。むしろ、社内からは「はみ出し者」に見えていたはずです。
実は30代の頃、私は大きな挫折を味わいました。
若かった私は、バブル景気のお蔭で「月販1億円越え」を何度も達成。完全に自惚れ、「唯我独尊」の極みで上司や役員にも"謎の上から目線"で批判・意見をしまくっていました。
その結果待っていたのは、いわゆる「左遷」です。昨日までいた賑やかなフロアから離れ、窓際で過ごす日々。あの時の、誰からも必要とされていないような、冷え切った孤独感は今も肌が覚えています。
けれど、皮肉にもその「窓際時代」が私の人生を変えました。
社内の評価軸から外れたことで、逆に社外の様々な人たちと深く関わる機会を得たのです。利害関係のない対話の中で、私は「自分がいかに狭い世界で、独りよがりな捉え方をしていたか」を突きつけられました。その気づきが、今の私のコンサルティングの根底にある「人との深い関わりの中で、自分を見出す」という信念になっています。
なぜ今、オフィスはこんなに「寒々しい」のか
コンサルタントとして多くのお客様の現場を見てきた今、切実に感じていることがあります。それは、多くの職場から「熱量」が消え、働く人々が「土台のない不安」の中にいるということです。
コロナ禍を経てリモートワークが普及し、業務の効率は上がりました。それは「働き方の自由度」の視点で、とても良いことです。でも、その代償として私たちは「半径3メートルの熱量」を失ってしまったと、強く感じています。
かつてのオフィスには、あちこちに「空気」がありました。隣の席の先輩が電話で苦戦している背中、雑談から生まれるふとしたアイデア、言葉にならない一体感。私たちはそんな何気ない環境の中で、「自分はここで役に立っている」という手触り感と、「もっと期待に応えて信頼され、自信が持てる堂々とした自分になりたい」という「想い・夢」を描けていたはずです。
それが今や、対話はほぼPCの中。会議はただの「業務連絡」になり、1on1はチェックリストを埋めるだけの「儀式」に成り下がっていないでしょうか? 「自分は何のためにここにいるのか、このままで自分はいいのだろうか」 そんな心の穴は、業務処理的・表面的なコミュニケーションでは埋まりません。
「会社の目標」と「自分の人生」を、もう一度つなぎ合わせる
多くの企業は、チームビルディングとキャリア開発を別々に考えています。 「会社のために動け」という号令と、「自分の価値は自分で高めろ」という突き放したメッセージ。これでは、ワーカーが「会社と自分は別物だ」と冷めてしまうのも無理はないでしょう。
私は、この二つを「再結合」させたい。
「このチームを成長させるプロセスが、そのまま自分のなりたい姿(Next Me)に繋がっている」 そう確信できたとき、人の心には自然と火が灯ります。
もちろん、「1人で、なりたい姿を目指す」ことを、まったく否定しません。 しかし、企業に入り、チームで仕事をする貴重な機会を得た時、そこで自分の可能性と向き合い、助け合える仲間と共に1人では得られない挑戦権を存分に活かす。その過程そのものが未来の「なりたい自分」につながる。 今、皆さんの「半径3mの世界」には、そんなチャンスがあることに気づいて欲しい、そう思っています。
アプローチ:学術理論を「現場の言葉」に翻訳する
私のプログラムではAIを活用しますが、それはあくまで効率的・創造的に、公平に対話を進めるための「手段(HOW)」に過ぎません。 このプログラムの真の強みは、私が長年の現場経験の中で体系化したアプローチそのものにあります。
その本質的なベースは、「認知行動療法(CBT: Cognitive Behavior Therapy)」の考え方です。
組織課題は「適応課題」であり、現状システムや制度の不具合がもたらす、そこで働く人々の「認知(物事の捉え方)」と「行動」の相互作用によって生まれています。
具体的には、以下の4つの理論を統合して考えることが必要です。
社会的認知理論(Albert Bandura)
他者との関わりの中で、人はどう学び、自己効力感を高めていくか。
家族療法・家族システム論(Murray Bowen)
組織を「感情システム」と捉え、関係性のパターンをどう健全化するか。
組織文化論(Edgar Henry Schein)
見えない「前提や文化的要因」が、いかに組織の行動を規定しているか。
成功の循環モデル(Daniel Kim)
どのような「関係・思考・行動」が、持続的成果への好循環をもたらすか。
これら重厚な理論を、忙しい現場のリーダー・メンバーが直感的に理解し、扱えるように独自開発したものが『成長循環モデル(18の要素と3つのチームステイタス)』です。(※このモデルの詳細は、また別の機会にお話しします)
この理論的アプローチを用いて、停滞してしまった「半径3メートルの世界の物語」を読み解き、ポジティブなストーリー・シナリオへと書き換えていきます。 漠然とした不安の正体を明らかにし、チームの構造的な"詰まり"を取り除く。
そうして初めて、組織の中に本当の意味での「熱量」が生まれ、 メンバー1人ひとりの心に火を灯すことができる、そう確信しています。
目指す未来:1人ひとりの心に「火を灯す」
私がみなさんと共に作りたいのは、「仲良しクラブ」のようなチームではありません。 チーム全員がワクワクできる「チームVISION」と、その中で自分がどう呼ばれる存在になりたいかという「私の肩書(Next Me)」。この2つの設計図をメンバー同士が本気で対話し、互いに尊重・承認し、共に切磋琢磨し目指していく状態です。
「自分はこのチームを成長させ、そこでこんな自分になるんだ」
その熱い「未来への期待」を持てたとき、人の心に自然と火が灯ります。
組織の目標達成と、個人の働きがい。この二つを再結合させ、働く人々の心に火を灯していくこと。それが、これからの時代に必要なチームビルディングであり、私がコンサルタントとして提供したい価値です。
もし、みなさんのチームに「熱量」が足りないと感じたら、ぜひお声がけください。 皆さまの現場が持つ可能性を一緒に引き出し、描き直していきたいと思っています。