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「システム」としてのチームの再設計

  • 曽根原 士郎
  • 1月21日
  • 読了時間: 4分

更新日:3 日前

大人の事情があり、一旦、寸止めで。


1. 「エースの寄せ集め」が勝てない理由

「優秀な人材を採用し、個人の能力(コンピテンシー)を底上げすれば、組織は強くなる」 これは、多くの経営者や人事が信じている「正攻法」です。


しかし現実には、スタープレイヤーを集めたはずのチームが、驚くほど凡庸な成果に終わることがあります。


例えば、営業成績トップの人間ばかりを集めたプロジェクトチーム。

個々の交渉力は抜群なのに、いざ連携が必要な場面になると「それは私の役割ではない」「誰かがやるだろう」という空気が流れ、情報共有の漏れから大きな手戻りが発生する。


なぜ、パーツが最高なのに、全体が動かないのか。


それは、私たちが「個人の能力」ばかりを見て、その間を流れる「システム」としての設計を後回しにしてきただと思います。


2. 「半径3m」は、個人の能力を増幅させる「ブースター」

心理学者のアルバート・バンデューラが提唱した「社会的認知理論」では、人の行動は「個人」「行動」「環境」の3つが互いに影響し合うことで決まると説いています。


かつてのブログで「半径3mの熱量」について触れました。

オフィスに集い、隣のデスクで先輩が困難なクレームに真摯に向き合う姿を横目で見る。あるいは、ちょっとした雑談から新しいアイデアの種が生まれる。この「環境」があるからこそ、人は無意識に学び、「自分たちならできる」という集団的効力感(チームとしての自信)を高めることができます。


個人のコンピテンシーを「単体のCPU性能」とするなら、チームの環境は「マザーボード」です。どんなに高性能なCPUも、接続が悪ければその性能を半分も発揮できません。


私たちは、個人の能力を問う前に、それが正しく伝播し、増幅される「環境というシステム」が機能しているかを考える必要があります。


3. 「犯人探し」をやめ、関係の「パターン」を書き換える

もう一つ、チームをシステムとして捉える上で不可欠な視点が、心理療法の「家族療法」にあります。


もしチーム内に、期限を何度も守らないメンバーがいたとき、私たちはつい「本人の自覚や能力の問題」として片付けようとします。


しかし、家族療法の視点では、原因は「個人」ではなく、その人を囲む「関係性のパターン」にあると考えます。


「リーダーが細かく指示を出しすぎるから、メンバーが自分で考えなくなる」 「周囲が先回りしてフォローしてしまうから、本人が危機感を持たない」


かつてのブログで触れた「OS(解釈)のアップデート」とは、こうした「誰が悪い」という犯人探しを脱し、チーム全体で「私たちは何のために、どこに向かうのか」という関係性の設計図(ER図)を引き直し、新しい意味づけを共有することなのです。


4. チームという「システム」を動かす、2つのインフラ

では、チームを「成果を出すシステム」として再構築するには、具体的に何が必要なのでしょうか。


  1. 共通の資産(ライブラリ) 優れたチームには、個人のセンスに頼らずとも、状況を打開するための「共通の知恵」が蓄積されています。私はこれを「ライブラリ」と呼びます。


    例えば、「本音で話す」「事実を振り返る」「未来を構想する」といった、チームの状態を動かすための具体的な「要素」のことです。


    これらが共通言語としてストックされていることで、チームは迷いなく次のステップへ進むための「手札」を持つことができます。


  2. 実行の手順(プロトコル) ライブラリという手札があっても、それを「どの順番で使うか」という手順を誤れば、システムは正しく駆動しません。これが「プロトコル(実行規約)」です。 例えば、「本音」で話せる土壌がないままに「知見共有」を急いでも、表面的な情報のやり取りに終始してしまいます。あるいは、過去の「内省」を経ない「未来構想」は、地に足の着かない夢物語で終わるでしょう。 チームの成熟度に合わせて、どの要素から順に着手し、どう接続していくか。 この「認知と実行のプロトコル」が共有されていることで、組織は歪みなく、最短距離で成長を遂げることが可能になります。

5. 新しい「物差し」の必要性

個人のコンピテンシーという「点」を測る物差しだけでは、この「システムの熱量」や「結合の強さ」を測ることはできません。

私たちは今、個々の能力の総和を超えて、チームという生命体がどれだけダイナミックに目的へ向かっているかを示す、新たな指標を必要としています。

大人の事情が解消次第、この「システムの結合力」を可視化する、新しい概念について詳しくお話ししたいと思います。

詳しく知りたい方のための参照リンク

 
 

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