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その「エンゲージメント調査」は、誰を幸せにしているか?

  • 曽根原 士郎
  • 1月28日
  • 読了時間: 4分

「お客様」扱いの組織開発を卒業する


今回は、ちょっと毒を吐きます…


1. 「状態伺い」という名の接待アンケート

「今の会社に満足していますか?」

「上司はあなたの成長を支援してくれますか?」


世に溢れるエンゲージメント調査設問を眺めるたび、私は形容しがたい違和感を覚えます。

回答者を「お客様」扱いし、会社が提供するメニューの満足度を問う。

そこには、組織の一員としての「覚悟」も「責任」も問う姿勢が欠落しています。


  • もちろん、kahnの「エンゲージメント定義」、Schaufeliの「ワーク・エンゲージメント」、いずれも一定の理解はしていますし、「満足度調査とは違う」という論調も多く読んでいます。それでも、「なんか、ズレを感じ、気持ち悪い」と。。


経営者が真に知りたいのは、社員が幸せか、やりがいがあるかという「感想」ではなく、

「明日、このチームで高い成果を出す意志(コミットメント)があるか」という一点のはずです。


もし、あなたの会社のエンゲージメント・スコアが「環境への不満」で上下しているのなら、それは組織開発ではなく、単なる「社員接待」に過ぎません。


2. 熱量は「半径3m」の相互作用からしか生まれない

なぜ、会社が用意した立派なパーパスや福利厚生では、人の心は動かないのでしょうか。 ここで、前回のブログでも触れた「社会的認知理論」を思い出してください。


人の意欲(自己効力感)とは、雲の上にある北極星を見て湧き上がるものではありません。隣の席の仲間に自分の仕事が喜ばれた、あるいは自分の働きかけでチームの空気が変わった。そんな「半径3m以内の手応え(反応)」の集積こそが、熱量の正体です。


個人のエンゲージメントという「浮遊する感情」を追いかけるのは、もうやめましょう。

私たちが目を向けるべきは、最小単位である「チーム」という系の中で、メンバーがどれだけ互いに影響し合い、当事者として機能しているかという事実です。


3. 「三位一体」のコミットメント ── プロフェッショナルの矜持

私は、エンゲージメントという甘い言葉を捨て、「組織コミットメント」という硬質な概念を再定義すべきだと考えています。

それも、単なる愛着(情緒)に頼らない、プロフェッショナルな三位一体の形です。


  • 新・情緒的コミットメント

    • 単に「好き・居心地が良い」なのではなく、このチームの目的(パーパス)に共鳴し、「達成に向け、仲間に必要とされている」という自己効力感に基づいた絆


  • 継続的コミットメント

    • 「他へ行くよりも、ここで経験を積む方が自分の市場価値にとってプラスだ」と、損得を含めて自ら選択しているという自己責任意識


  • 規範的コミットメント

    • 役割を引き受け、対価を得ている以上、期待に応えるのはプロとしての筋であるという自律的な規律


フワフワした「今の状態を、自分のことは棚に上げ、上から目線で評価する」妙な充足感ではなく、「自分でここを選び、役割を全うする」という大人の責任感こそが、揺るぎないチームの推進力と、確固たる自身の経験・成長につながっていくはずです。


4. 現場に「裁量」を戻す ── 新しいチームビルディングの作法

では、どうすればこの「強いコミットメント」を宿すチームを作れるのか。

ここで、前回「大人の事情」で詳細は伏せさせていただいた、例の「システムのライブラリ」が本領を発揮します。


特定個人をケアする「局所戦」や、全社一律の施策を投じる「消耗戦」はもう限界です。 これからの組織に必要なのは、四半期単位でチーム自らが自分たちの現在地を確認し、共通のプロトコル(作法)に則って、自律的に「OS」を書き換えていくプロセスです。


「本音を言えているか?」「内省は機能しているか?」 用意されたライブラリ(18の要素)を使い、『本音なしに内省なし』といった正しい手順(プロトコル)に沿って、現場が自らの手で「自分たちのシステム」を調整していく。


この「自分たちでチームを創っている」という裁量こそが、消費者的ではない、真の当事者的コミットメントを育む土壌となります。


5. 経営者の皆さまへ

社員をお客様扱いして機嫌を伺うのは、もう終わりにしませんか?


経営の役割は、社員が「自らここで働くことを選び、プロとして貢献したい」と思える「チームというシステムの構築権限」を現場に渡し、実現と成果を要求し、報酬を準備することにあります。


そして、チームリーダーとメンバーは、「自分たちらしく、成果を出せるチームを定義し、具体化し、自分たちで実現に取り組む」ことだと言えます。

この状態測定をもって初めて、意味のある、「結果から、取り組むべき打ち手が見える診断」と言えるのではないでしょうか。


御社のチームは今、現場が自律的に『OS』を書き換えるための「測定」はできていますか?



 
 

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